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山口地方裁判所岩国支部 昭和51年(ワ)73号 判決

主文

1. 甲事件

被告中濱高明は原告に対し別紙物件目録一(三)記載の各建物を収去して同目録一(一)、(二)記載の各土地を明渡せ。

2. 乙事件

原告に対し

被告中濱浅吉は同目録二記載の各建物を収去して同目録一(一)記載の土地を明渡せ。

被告中濱高明、同中濱ツユノ、同中濱すみ江は同目録二記載の建物から退去して同目録一(一)記載の土地を明渡せ。

3. 丙事件

被告中濱幹太郎は原告に対し同目録三(二)記載の建物を収去して同目録三(一)記載の土地を明渡せ。

4. 丁事件

原告らの請求をいずれも棄却する。

5. 訴訟費用は甲、乙、丙事件により生じたものは同事件被告らの負担とし、丁事件により生じたものは同事件原告らの負担とする。

事実

第一、申立

一、甲事件

(一)原告

主文1項同旨

訴訟費用は被告の負担とする。

(二)被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、乙事件

(一)原告

主文2項同旨

訴訟費用は被告らの連帯負担とする。

(二)被告ら

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

三、丙事件

(一)原告

主文3項同旨

訴訟費用は被告の負担とする。

(二)被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

四、丁事件

(一)原告ら

別紙目録四記載の土地が亡中濱市五郎の遺産に属することを確認する。

被告は右土地について原告中濱ツユノに対し持分一八分の一、その余の原告らに対し持分各七二分の一宛の持分所有権移転登記手続をせよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

(二)被告

主文4項同旨

訴訟費用は原告らの負担とする。

第二、主張

一、甲、乙、丙事件

(請求原因)

(一) 原告は

1.  昭和八年四月一五日別紙目録一(一)の土地を訴外水元一義から

2. 昭和一〇年一月一六日同目録一(二)の土地を訴外出雲谷豊外三名から

3. 昭和一二年二月五日同目録三(一)の土地を訴外金本佐助から

それぞれ買受けた。

(二) 被告中濱高明は昭和四九年一〇月一五日

1. 同目録一(一)、(二)の各土地上に同目録一(三)1記載の建物を

2. 同目録一(二)記載の土地上に同目録一(三)2記載の建物を

建て、右各土地を占有している。

(三) 被告中濱浅吉は昭和五〇年四月一〇日ころ、同目録一(一)記載の土地上に同目録二1ないし3記載の各建物を建て、右土地を占有している。

(四) 被告中濱高明、同中濱ツユノ、同中濱すみ江はいずれも同目録二1の建物に居住し、同2、3の各建物を使用して、右土地を占有している。

(五) 被告中濱幹太郎は昭和五〇年三月二〇日ころ、同目録三(一)記載の土地上に、同(二)記載の建物を建て、右土地を占有している。

(六) よつて原告は右各土地所有権に基づき

被告高明に対し別紙目録一(三)記載の建物を収去して同目録一(一)、(二)記載の土地を明渡すことを

同浅吉に対し同目録二記載の各建物を収去して同目録一(一)記載の土地を明渡すことを

同高明、同ツユノ、同すみ江に対し同目録二記載の建物から退去して同目録一(一)記載の土地を明渡すことを

同幹太郎に対し同目録三(二)記載の建物を収去して同目録三(一)記載の土地を明渡すことを

求める。

(答弁)

請求原因(一)の各事実は否認する。原告主張の各土地はいずれもその亡夫中濱市五郎が買受けたものである。

同(二)、(三)、(五)の各事実は認める。

(抗弁)

(一) 別紙目録一(一)記載の土地上には亡市五郎の所有していた家屋(家屋番号三四三番)と重複して登記された原告名義の家屋(家屋番号六九一番)があつた。

(二) 被告らは昭和一二年四月一九日から同家屋に居住していたが、昭和四九年一〇月一五日原告の同意を得てこれを取毀し、同所に別紙目録一(三)、二、三(二)記載の建物を夫々建築した。

右事情で被告らは昭和四九年ころ右各土地について原告との間で使用貸借契約を締結したものである。

(抗弁に対する答弁)

抗弁(一)の事実は認める。

同(二)の事実中、被告らの居住、建物取毀し、新たな建築の点を認め、その余は否認する。被告らは原告に無断で原告名、印を使用し、宅地転用および建物建築各手続をしたものである。

二、丁事件

(請求原因)゛

(一)  亡中濱市五郎は、山口県玖珂郡愛宕村大字牛野谷字本峠六七九番地所在の田八畝三歩 他五歩畦畔を所有していた。

(二)  右土地は昭和一九年一二月二八日国によつて買収され(昭和三七年二月一九日受付第一五二三号をもつて大蔵省に所有権移転登記を経由し、同三八年一月二一日受付第四三八号をもつて農林省による所有権保存登記がなされた。)、その代替地として昭和三八年一月二一日自作農創設特別法一六条により別紙目録四記載の土地が同人に売渡されたが、当時既に同人は死亡していたため被告ユクノ名義で所有権移転登記がなされた。

(三)  市五郎は昭和三四年六月二七日死亡したので、同日相続により同人の権利義務は原告ツユノが一八分の一、同高明、同すみ江、同幹太郎、同浅吉、同昌夫、同新山宏子、同川村佳江、同中濱泰生がいずれも七二分の一の割合で承継し、別紙目録四記載の土地についても原告らは右割合で持分を取得した。

(四)  被告ユクノは原告らの持分を争つている。

(五)  よつて原告らは被告ユクノとの間で右土地が亡市五郎の遺産に属することの確認を求め、原告らに対し右割合による持分について持分権移転登記手続をなすことを求める。

(答弁)

請求原因(一)の事実は認める。

同(二)の事実中、原告主張の土地が国によつて買収されたことおよび別紙目録四記載の土地につき被告ユクノ名義に所有権移転登記が経由されていることは認め、その余は否認する。右土地は被告ユクノが昭和三八年一月二一日自創法一六条により国から買受けたものである。

同(三)の事実中、市五郎が死亡し、原告らが同人の権利義務を承継したことは認め、その余は否認する。

同(四)の事実は認める。

第三、証拠(省略)

別紙 物件目録

一(一) 岩国市旭町二丁目二七三六番地

宅地 三五七・〇二平方メートル

(二) 同所二七三九番地

畑 七六〇平方メートル

(三) 1.同所二七三六番地、二七三九番地所在

家屋番号 二七三九

木造ルーフイング葺平家建居宅一棟 四九・六八平方メートル

2.同所二七三九番地所在

ガレージ(未登記) 一棟 四八平方メートル

二1.同所二七三六番地所在

家屋番号 二七三六

木造瓦葺平家建居宅一棟 八八・三六平方メートル

2.同所

建物(未登記) 一棟 一〇・〇三平方メートル

3.同所

同(同) 一棟 一〇・〇三平方メートル

三(一) 同所二七三五番地

宅地 二三八平方メートル

(二) 同所二七三五番地所在

家屋番号 二七三五

木造スレート瓦葺平家建居宅一棟 七九・九三平方メートル

四 同市牛野谷町三丁目九〇三番地

畑(現況雑種地) 九七六平方メートル

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